
こんにちは。行政書士の高橋ゆうこです。
相続手続きを進めるうえで、もっとも大切なのが「相続人の確定」です。ところが、現場ではこの相続人の確認を誤ってしまい、遺産分割協議書に一部の相続人が入っていないという事態が発生することがあります。
今回は、相続人の見落としが起きた場合の対処法と、見落としが起こりやすい代表的なケースをご紹介します。
遺産分割協議書で相続人を見落とすとどうなる?
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。1人でも欠けていれば、その協議は無効になります。
場合によっては、見落とされた相続人から損害賠償を請求されるリスクもあります。
見落としが起こりやすい相続人のパターン
① 前婚の子ども(非嫡出子を含む)
被相続人が再婚していた場合、前の配偶者との間の子どもも相続人です。被相続人がその子と疎遠だった場合でも、法律上の相続権は消えません。
② 認知した子ども
婚姻関係がなくとも、被相続人が認知していた子どもは実子として法定相続人になります。認知すると、認知した親と子どもそれぞれの戸籍の身分事項欄に認知に関する事項が記載されるので、きちんとした確認が必要です。
③ 養子縁組をした子
養子にした子どもも相続人となります。実子がいる場合でも法定相続人に含まれ、戸籍をしっかり確認しないと抜け落ちてしまうことがあります。
④ 代襲相続人
被相続人の子どもがすでに亡くなっている場合、その**孫(代襲相続人)**が相続権を持ちます。
「子はもういない」と思っていても、その子に子どもがいれば、その孫が相続人になるため注意が必要です。
また、子の場合は再代襲がありますが、兄弟姉妹には再代襲が認められません。
見落としがあった場合の対処法
1. 速やかに協議をやり直す
見落とされた相続人を含めて、改めて遺産分割協議をやり直す必要があります。既に作成済みの遺産分割協議書は無効となるため、新たに相続人全員での協議書を作成し直します。
2. 登記や銀行手続きをやり直す
法務局や銀行でもチェックはされるので、起こる可能性は極めて低いですが、万が一既に不動産登記が済んでいた場合、**法務局で訂正手続き(更正登記)**が必要になることがあります。また、銀行口座の名義変更や解約も、再度手続きが必要になることがあります。
3. 誠意ある対応でトラブル回避を
見落とされた相続人がいると、感情的なトラブルになるケースも少なくありません。謝罪とともに誠意をもって説明し、法的な対応とともに円満な解決を目指すことが大切です。
トラブル防止のために:戸籍の調査は専門家に
戸籍の読み取りには、専門知識が求められます。見落としを防ぐためにも、行政書士や司法書士などの専門家に戸籍調査を依頼することをおすすめします。
まとめ
- 相続人の見落としがあると、遺産分割協議は無効になります。
- 前婚の子、認知した子、代襲相続人などは特に注意が必要です。
- トラブルを避けるには、専門家に相談するのが最善です。
相続は「人間関係」が大きく関わる、繊細な手続きです。ご不安な方は、お気軽にご相談ください。
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