
こんにちは。行政書士の高橋ゆうこです。
今回は、相続の場面でよく問題になる「遺留分」について、わかりやすくご説明します。
そもそも「遺留分」とは?
遺留分とは、法律で保障された最低限の相続分のことです。
たとえば、被相続人(亡くなった方)が遺言で「財産はすべて愛人に渡す」と書いていたとしても、一定の相続人には、「いや、それでは困る!」と財産の一部を取り戻す権利が認められています。
これが「遺留分」です。
遺留分がなければ、家族が生活に困窮するリスクが高まるため、民法によって保護されているのです。
遺留分が認められる人は?
遺留分を主張できるのは、次の人たちに限られます。
- 配偶者
- 子(またはその代襲者)
- 直系尊属(父母や祖父母など)
※ 兄弟姉妹には遺留分はありません!
兄弟姉妹がどれだけ仲が良くても、遺留分を請求することはできないので注意しましょう。
遺留分の割合はどれくらい?
遺留分の割合は、相続人の構成によって変わります。
相続人 | 遺留分の割合 |
---|---|
配偶者や子がいる場合 | 法定相続分の1/2 |
配偶者や子がいないで直系尊属だけの場合 | 法定相続分の1/3 |
例:配偶者と子1人がいるケース
- 配偶者の法定相続分:1/2 → その半分(1/4)が遺留分
- 子の法定相続分:1/2 → その半分(1/4)が遺留分
つまりこの場合、合計で財産の半分については遺留分を請求できるわけです。
遺留分を侵害されたらどうする?
もし、遺言や生前贈与によって遺留分が侵害された場合、**「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」**という手続きを取ることができます。
遺留分侵害額請求をするには、
- 相手に「遺留分を侵害しているので、金銭で支払ってほしい」と請求
する必要があります。
(2019年の法改正により、「物そのものの返還」ではなく「金銭支払い」が原則になりました。)
📌ポイント
- 請求できる期間は「相続の開始 及び 遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年以内」(相続の開始を知らなかったときは相続開始から10年以内)
- 金銭で請求するのが原則
期限があるので、早めに行動する必要があります。
まとめ
- 遺留分は「最低限の相続分」で、配偶者や子など特定の相続人だけに認められる権利。
- 財産をすべて特定の人に遺したい場合でも、遺留分の存在に注意が必要。
- 遺言を作成するときは、遺留分に十分配慮する必要がある。
- 遺留分を侵害されたら、速やかに「遺留分侵害額請求」を行うこと。
相続に関するトラブルは、早めの相談と正しい対応がカギになります。
当事務所では、遺留分に配慮した遺言書作成サポートも承っています。
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