
こんにちは、行政書士の高橋ゆうこです。
就労継続支援A型・B型事業では、「加算が取れるかどうか」は日々の記録書式にかかっているといっても過言ではありません。
本記事では、
- どんな記録を残す必要があるのか?
- 加算取得につながる書き方
- 実地指導で見られるポイント
を具体的な記録例つきで解説します。
◆ なぜ記録が重要なのか?
加算取得の要件の多くは、「適切な支援の実施」と「記録による裏付け」がセットです。
✅ 書類が整っていない=
→ 加算対象外・返還・減算のリスク
記録書式が整っていれば、加算の申請・監査対応の両方で有利になります。
◆ 必須の記録書式と役割一覧
書式名 | 主な役割 | 関連する加算例 |
---|---|---|
個別支援計画書 | 利用者の目標と支援内容を明確化 | 就労継続支援体制加算、工賃達成加算 など |
支援記録(日誌) | 日々の支援内容の記録 | 上記すべての加算に必須 |
サービス担当者会議記録 | 支援内容を関係者と協議した記録 | 支援体制加算、移行支援加算 |
就労評価シート | 利用者の就労スキルや課題の把握 | 生産活動実績評価加算 など |
工賃実績台帳 | 月ごとの支払・内訳を記録 | 工賃達成加算、指導員加算 |
加算管理台帳 | 加算要件の達成状況を一覧管理 | 監査・返還防止に重要 |
◆ 書式例①:個別支援計画書(概要)
【基本情報】
・氏名:〇〇 〇〇
・障害種別:精神(統合失調症)
・利用開始日:2025年5月1日
【長期目標】
一般就労に向けて、職業スキルと生活リズムの安定を図る
【短期目標】
・週5日通所を継続(3ヶ月間)
・指示理解に関する支援を受けながら簡単な軽作業を自立して実施
【支援内容】
・生活支援:朝の声かけ、送迎対応、服薬管理
・就労支援:作業指導、社会的スキル向上訓練
【モニタリング計画】
・毎月末に支援記録と通所状況をもとに評価会議を実施
✅ ポイント:
- SMART原則(具体的・測定可能・達成可能・現実的・期限付き)を意識
- 月1回以上のモニタリング記録が加算要件になることも(体制加算など)
◆ 書式例②:支援記録(日誌)
【日付】2025年5月20日(火)
【利用者】田中 太郎
【作業内容】
・袋詰め作業(30分)
・清掃(15分)
【支援内容】
・開始前の工程説明を2回繰り返し実施。
・途中で集中が切れた際、休憩を提案し5分後に再開。
【支援の成果】
・自主的に手順確認をしながら進める様子あり。
【課題】
・新しい作業に不安を感じる傾向があり、声かけが必要。
【次回の支援予定】
・マニュアルを簡略化した資料を作成予定。
✅ ポイント:
- 支援「内容」+「成果」+「課題」の3点セットで記載
- 加算監査では、「具体的支援記録が月の半数以上」求められることも
◆ 書式例③:工賃実績台帳
利用者名 | 月支給額 | 作業内訳 | 支払日 |
---|---|---|---|
佐藤 花子 | 12,000円 | シール貼り、ピッキング | 2025/05/31 |
鈴木 一郎 | 15,500円 | 清掃、野菜仕分け | 2025/05/31 |
✅ ポイント:
- 各月ごとに「人数×平均工賃額」のデータを残す
- 「目標工賃達成加算」には証拠となる台帳が必須
◆ 実地指導で見られる3つの書類のクセ
ありがちミス | 指摘されやすい理由 | 対策 |
---|---|---|
計画と記録が矛盾 | 「支援内容:軽作業」→「記録:清掃」など | 支援内容を固定せず柔軟に計画を記載 |
モニタリング欄が空白 | 加算の条件を満たさない | 毎月の振り返りと支援会議を定期実施 |
支援記録が「様子見」ばかり | 「支援した証拠」が残らない | 実際に行った声かけや判断を記録する |
◆ 書式管理のアドバイス
- Excelでのテンプレート化で全スタッフが統一記録
- モニタリング予定日や加算対象者の一覧管理(カレンダー連携など)
- 定期的に行政書士・社労士等と一緒にチェック
◆ まとめ
記録書式で押さえるべきポイント |
---|
✅ 個別支援計画は「目標・支援・モニタリング」を明記 |
✅ 支援記録は「支援内容+効果+課題」セットで書く |
✅ 工賃台帳・評価記録など、成果系加算の裏付けが必須 |
✅ 書式の統一と習慣化が、監査対策と加算維持に直結 |
行政書士が、書式の提供を含め、加算取得までの道のりをフルサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。
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