
こんにちは、行政書士の高橋ゆうこです。
「就労継続支援事業を始めたいけど、A型とB型、どちらが合っているのか分からない…」という方に向けて、この記事では、A型・B型の制度的な違いから、事業者目線でのメリット・デメリット、開業のしやすさ、運営のポイントまで、丁寧に解説します。
就労継続支援とは?
就労継続支援事業は、障がいのある方が地域で働き続けられるよう、事業所が支援を行う福祉サービスです。
A型・B型の2つの形態があり、それぞれに対象者・契約形態・支援内容が異なります。
A型とB型の基本的な違い【早見表】
比較項目 | A型 | B型 |
---|---|---|
契約形態 | 雇用契約を結ぶ(労働法適用) | 雇用契約なし(作業提供の対価) |
賃金形態 | 最低賃金以上の給与 | 工賃(数千円〜1万円前後/月) |
対象者 | 一般就労が難しいが、雇用に耐えうる障がい者 | 雇用が困難で、生活訓練が必要な障がい者 |
サービス目的 | 一般就労に向けたステップアップ支援 | 日中活動・自立支援・生活リズムの安定 |
利用者年齢 | 原則18歳以上65歳未満 | 制限なし(高齢者も可能) |
指導体制 | 就労支援中心(職業指導・定着支援) | 生活支援中心(生活習慣や社会性の育成) |
利用期間 | 原則2年(更新可) | 期限なし |
人員基準 | A型独自に雇用管理責任者が必要 | 生活支援員の配置がより重要 |
A型の特徴・メリット・デメリット
✅ 特徴
- 雇用契約を結ぶことで「労働者」としての権利を保障
- ハローワーク求人による採用が必要
- 最低賃金・労働保険・社会保険など、労働法令に準拠
✅ メリット
- 賃金保証があるため、利用希望者が集まりやすい
- 雇用実績に応じた自治体の支援や評価が受けられる
- 法人イメージが良く、地域貢献度が高い
❌ デメリット
- 労働契約によるトラブルや管理コストが重い
- 利用者の体調や能力変動により雇用リスクあり
- 最低賃金を下回れないため、業務設計が難しい
B型の特徴・メリット・デメリット
✅ 特徴
- 雇用契約を結ばず、日中活動支援として運営
- 作業内容や時間が柔軟で、利用者の負担が少ない
- 工賃は事業収益に応じて支給(数千円〜数万円程度)
✅ メリット
- 利用者の受け入れ幅が広く、支援の自由度が高い
- 雇用契約が不要で、労務管理リスクが少ない
- スモールスタートしやすく、事業展開が柔軟
❌ デメリット
- 工賃が低いため、利用者満足度に課題が出やすい
- 福祉的支援に重きが置かれ、一般就労への移行は困難
- 行政からの支援(補助金・報酬単価)はA型に比べてやや低め
どちらを選ぶべき?事業者目線のポイント
観点 | A型が向いている事業者 | B型が向いている事業者 |
---|---|---|
安定的な雇用を提供したい | ✅ | △ |
障がい者の社会参加を支援したい | ✅ | ✅ |
人材や労務管理に強い体制がある | ✅ | △ |
小規模で福祉中心の運営をしたい | △ | ✅ |
利用者の重度化に対応したい | △ | ✅ |
地域に雇用を生みたい | ✅ | △ |
開業のしやすさ・指定取得の難易度
比較項目 | A型 | B型 |
---|---|---|
初期投資 | 中〜高(人件費・労務管理費) | 低〜中(工賃支払い分) |
指定取得のハードル | やや高い(雇用実績など) | 比較的低い |
開業までの期間 | 長め(審査が厳格) | 比較的短い |
まとめ
結論 |
---|
✅ A型は「雇用を通じて自立を支援する」スタイル |
✅ B型は「生活の安定・社会参加を促す」スタイル |
✅ 事業者の資源・ビジョン・支援対象によって最適な選択を |
**A型は「企業的視点+福祉的視点」**が求められるハイブリッド型。雇用リスクをどうコントロールするかが鍵です。
- **B型は「福祉的色合いが濃い」**事業で、地域資源を活用しながら、柔軟な運営が可能です。
どちらにも社会的意義があり、適切な設計と運営により地域貢献性の高い事業が実現します。当事務所は、就労継続支援事業の立ち上げを事業者様の伴走者としてサポートいたしますので、ご検討中の方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
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