
こんにちは、行政書士の高橋ゆうこです。
就労継続支援事業の経営では、「加算をどれだけ確実に取得できるか」が収益の明暗を分けます。
今回は、国保連から支払われる主な加算の内容、取得要件、想定金額、そして実際の取得戦略について詳しくご紹介します。
◆ そもそも「加算」とは?
就労継続支援A型・B型事業者が一定の条件を満たすことで、基本報酬に上乗せして受け取れる追加報酬のことです。
制度上、各事業所の努力や質の高い支援を促す目的で設けられており、うまく活用すれば利用者1人あたり月1~3万円の収益増も可能です。
◆ 主な加算の種類と概要(A型・B型共通・一部限定あり)
加算名 | 対象 | 月額(目安) | 要件の難易度 | ポイント |
---|---|---|---|---|
就労継続支援体制加算 | A型・B型共通 | 約6,000円〜10,000円/人 | 中 | 計画・記録・評価体制の整備が必要 |
福祉専門職員配置等加算 | A型・B型共通 | 約5,000円〜/人 | 低 | 有資格者(社会福祉士等)を配置 |
目標工賃達成指導員加算 | 主にB型 | 約4,000円〜/人 | 中 | 工賃向上の専任職員が必要 |
目標工賃達成加算 | B型 | 約3,000円〜8,000円/人 | 高 | 一定水準の工賃を達成することが条件 |
生産活動実績評価加算 | A型 | 最大約15,000円/人 | 高 | 高い生産性・就労移行率が必要 |
移行支援加算 | A型 | 約10,000円/人(移行時) | 中 | 一般就労への移行成功が要件 |
処遇改善加算 | A型・B型共通 | 変動(職員給付) | 中 | 職員処遇改善に応じた加算配分 |
◆ 具体的な取得例【モデルケース】
✅ ケース①:B型事業所(利用者20名)
取得加算 | 単価 | 月額(20名) | 要件対策 |
---|---|---|---|
就労継続支援体制加算 | 8,000円 | 16万円 | 個別支援計画・記録体制の整備 |
福祉専門職配置等加算 | 5,000円 | 10万円 | 社会福祉士を常勤で1名配置 |
目標工賃達成指導員加算 | 4,000円 | 8万円 | 専任の工賃向上担当者を配置 |
目標工賃達成加算(区分Ⅱ) | 6,000円 | 12万円 | 月工賃平均15,000円を達成 |
→ 合計加算収益:約46万円/月(年間552万円)
✅この加算だけで、職員1名分の人件費を賄える水準になります。
✅ ケース②:A型事業所(利用者15名)
取得加算 | 単価 | 月額(15名) | 要件対策 |
---|---|---|---|
生産活動実績評価加算 | 10,000円 | 15万円 | 作業収益×就労移行数で基準クリア |
福祉専門職配置加算 | 5,000円 | 7.5万円 | 精神保健福祉士1名配置 |
就労継続支援体制加算 | 6,000円 | 9万円 | 利用者記録・支援会議を適正化 |
処遇改善加算 | 職員総給与の数% | 約5万円相当 | 就業規則と改善計画提出 |
→ 合計加算収益:約36.5万円/月(年間438万円)
✅ 特に「生産活動実績評価加算」は難易度が高い分、収益インパクトも大きい加算です。
◆ 加算取得のための戦略ポイント
① 記録・支援体制を整える
→ 加算取得の半数は「記録の質」で決まる
- 個別支援計画の定期更新(6ヶ月ごと)
- 就労支援・会議・評価の記録が必須
- 記録の「質」=加算の評価につながる
② 有資格者を配置する
→ 最も確実に取れるのが「専門職配置」加算
- 社会福祉士・精神保健福祉士・看護師など
- 非常勤でも認められる場合あり(勤務時間要確認)
③ 工賃・就労移行に力を入れる
→ 生産性と成果が加算のカギ
- 作業単価の見直し
- EC販路の拡充や業務請負の多角化
- 一般就労移行支援との連携で移行数UP
④ 年度計画を立て、優先順位を決める
→ すべての加算を一度に狙うのは非現実的
- 人員や運営リソースに応じて段階的に取得
- 1年目:体制整備と資格者配置
- 2年目:記録体制を強化し、実績評価系加算を狙う
◆ よくある加算申請の失敗例と対策
失敗例 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
取得していた加算が監査で減額 | 記録不備・支援会議の頻度不足 | 監査対応用の記録様式を整備 |
加算要件を満たしていたのに申請しなかった | 情報不足 or 見落とし | 年度ごとの加算一覧を常に確認 |
担当職員が加算対象とならない | 資格要件・勤務形態の誤解 | 就業規則・契約書で明記する |
◆ 行政書士からのアドバイス
- 加算は単に「取る」ものではなく、支援の質向上の結果として得られるものです。
- ただし制度は複雑なため、要件整理・記録書式の整備・職員研修など、専門家のサポートが効果的です。
◆ まとめ
ポイントまとめ |
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✅ 加算取得で1人あたり月1~3万円の収益UPも可能なケースあり |
✅ 「記録体制」「資格者配置」「成果実績」がカギ |
✅ 段階的な戦略設計とモニタリングで安定的に取得を |
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